生命に欠かせない元素リンは「新星爆発」という天文現象でつくられた可能性があると、国立天文台などの研究チームが発表した。新星爆発は燃え尽きた星の表面で起きる核爆発で、大量のリンを繰り返し宇宙にばらまいたという。地球で生命が誕生した謎を解く手がかりにもなりそうだ。
リンはDNAや細胞膜などに含まれ、地球上の生物には欠かせない元素の一つだ。極めて重い星が超新星爆発を起こして一生を終える際、ほかの元素とともにつくられたと考えられてきた。ただ、超新星爆発で生じるリンの量は、銀河系に存在すると考えられる量より少なく、大量のリンがどこからきたのかはわかっていなかった。
国立天文台の辻本拓司助教(理論宇宙物理学)と西オーストラリア大の研究チームは、新星爆発に注目した。超新星爆発を起こすほどの重さがない星は、寿命を迎えると白色矮星(わいせい)になる。その表面で起きる核融合反応が新星爆発だ。
研究の結果、重い白色矮星が…